ここ数日、かなり意気消沈でした。
息子の異動が決まったのです。
都内ではありますが、霞が関から異動となってしまいました。
これは通勤的にも、異動の内容的にも、あまり喜ばしいことではなく。
近いうちに地方住みをする異動があるというのは覚悟していましたが、今回はそれがなくてホッとしていたところでした。
今の部署の仕事が好きで、あと1年は続けたいと言っていた息子。
でも、今週異動の通達が来るかもしれないという恐れを、今月になってからずっと口にしていたんです。
それには理由があって。
上司とウマが全く合わないということ。
息子は決して優秀な職員ではありません。
気が利かないし、出世欲はないし、お世辞ひとつもきちんと言えず、そのくせ頑固なところもあるし、自分の時間はめちゃ大事にする。
古いしきたりとかが嫌いで、不器用でコミュ障だからなのか、意見だけはポロっと口にする。
勝手に良かれと思って判断することも多いようで、当然怒られる。
家族にはとても優しいし、頭もいいと思うけれど、上司からしたら、まったくかわいげのない、できの悪い部下なんです。
だから仕方がないのですが、かなり陰湿な言われ方をされてきたようで、ここ数日、初めてそれを打ち明けられました。
その内容を聞くと、ミスの多い息子も悪いのでしょうが、それに対して、同じ土俵で同じレベルで怒っている上司の姿が浮かび上がってきます。
詳しくは書けないですが、とても大人の怒り方ではないなという感じで。
感情的になっているんですね。
こんな状況ですから、今回の異動は言ってみれば左遷です。
霞が関内から追い出されたわけです。
勤務場所は今までよりも遠くなるし、勤務開始時間も早まるので、通勤は結構大変になります。
かと言って、ひとり暮らしをするのは出費がかさんで馬鹿らしい。
4月1日からはそこで勤務することになるので、とりあえずは、当面は今までより1時間早く起きての自宅通勤ですが、今後は状況を見て考えようということになりました。
異動の可能性があることを告げられた2日前の夜、息子と娘と3人でいろいろと話をしました。
息子の仕事に対する構えや、人生観まで。
息子と話をしていると、どうしても学歴がちらついてきます。
ある程度の学歴を持っている息子は、それを活かすことはできずにいて、それが実際の仕事でも思考の上でも、邪魔になっていると感じました。
今の息子には、自身の学歴を活かすだけの能力や欲もない。
でも、捨ててはじけてしまう勇気もない。
宙ぶらりんの状態にあるようです。
以前、林先生の番組で同じような話をしていた記憶があります。
東大生の悩みを聞いていた番組です。
東大卒なら、仕事ができて当たり前。
できないと、東大出ているのにこれなの?と言われて、即レッテルを貼られてしまうと。
私のようにたいした学歴を持たない人間にはこのあたりの境地がわかりませんが、学歴は足かせにもなるんだということを知りました。
これは学歴だけじゃなく、自分の得意としているもの、かつては賞賛されたもの、そういったものを持っていた人も同じだと思います。
活かすことができるのが一番です。
でもそれには、そこにまたそれを手に入れたときと同列の努力が必要とされ、それを持続する活力を持たないといけないのだと感じました。
それをきちんと長く維持してきたという人はいいですが、一旦、腰を下ろしてお休みしてしまい、すぐには立ちあがれないくらい地べたに座り込んでしまった人は、もう立ち上がり方も忘れてしまっているわけで。
それが息子なんですね。
昨晩、息子と話して確認をしました。
入職当時から2年たって、当初あまり強くは感じなかった自分のやる気と欲とか、それはどうなったか。
息子曰く。
異動のショックを踏まえて、じっくり考えて、できる人間になりたいと真っ先に思ったということです。
上司に陰湿な怒られ方をしてきたこの1年間は、萎縮したり、ダメな人間認定を自分でもしてきたけれど、4月からは負けない自分になりたいと。
活かせるものは活かす。
謙虚を心がけて、好かれる部下になると。
それならば。
お金をもらうからにはプロになってくれと言いました。
プロはミスをしないことだよと。
少なくとも、受験でミスをしなかったから勝ったという過去があるわけですから。
人生って、大変です。
自分の武器を活かした仕事をして、順調に人生を送っている人は決して多くはないはずです。
人生って、戦うことなのか。
戦わなくてもいい人生はあるのか。
戦利品は何なのかで、決めていく打算が必要でもあります。