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祝・還暦 ~横浜へ~ 後編

この横浜旅行、実は、私の還暦というごく当たり前のお祝いイベントだけでは終わらなかったんです。

めちゃくちゃ、ファンキーな出来事がありました。

 

空いた小腹を、ラウンジのカクテルタイムのおつまみで満たした後、ふ頭で上がる花火を見るためにホテルを出ました。

ライトアップされた観覧車を見ながら、大きな橋を渡ります。

ホテルのコンシェルジュに花火情報を聞きましたが、正確な情報はないと言われました。

ほんとに花火あるのかなあ。

娘がネットで知らべた情報だけで、とりあえず、見えるだろうという場所に向かいます。

 

赤い丸がホテル、ネット情報だと青い丸の付近で花火が打ち上げられるので、当初は緑色の橋(女神橋)あたりで見ようと娘と話していました。

そして、ホテルから歩いて黄色の小径があるあたりで、娘が「この小径から行けるよね~」と私に話しかけたところ、私たちの脇をちょうど通り過ぎようとしていた女性が急に立ち止まりました。

「どちらへ行きたいの?」

夜なのにサングラスをかけていて、ジョンレノンの奥さんが生き返ってきたかというような風貌の中年女性が、いきなり私たちに話しかけてきました。

「ああ、なんかこれから花火が上がるっていうことなので、それを見に行くのに女神橋っていうところがいいのかなあって・・」

娘の説明をさえぎって、その女性。

「あ、今日花火が上がるんだ~。そういう情報、なんにも流れてこないのよね~、ほんと腹立つ。そっか、それなら私についてきて、一緒に行ってあげるから」

「え、いいんですか~?」

スーパーの買い物袋を手に提げているこの女性、自分は地元民で家に帰るところだが、どこからでも帰れるから案内してあげると言うのです。

ほんとにいいの?と申しわけない気持ちもありましたし、あまりの強引さに驚きもありましたが、悪い人ではなさそうなので、一緒に黄色の小径を進んでいきました。

「今日、花火上がるなんてね、何も知らされてないのよ、住民は。音が鳴ったんで、あとから花火だってわかるのよね。花火の情報はどこで?」

「あ、ネットで。でも、ホテルの人に聞いたところ、定かではないし、場所もこのふ頭か山下ふ頭か、どちらかなのかは言えないんだって言われましたけど」

そう答えると、この女性、怒りをあらわに。

「まったくね~、横浜のホテルの従業員って、どうしようもないわよ。観光地のホテルなら、そういう情報を正確に客に伝えるべきでしょ?よそ者の集まりだから仕方ないかもしれないけれど、ゲストに正確にイベントを説明できないホテルなんて最低よ。どこのホテルに泊まっているの?ま、どこでも同じだけど」

たしかにこの女性の言っていることはもっともで。

そういうプロフェッショナルなホスピタリティ、ホテルには重要なはず。

ま、ホテルに限らず、今の時代どの場面でも、プロと呼べる人が少なくなってきていますからね。

その後も、横浜の話を続ける彼女の少し自分にも似た濃い目のキャラに驚きながら、上の写真のピンク色で示した海沿いの階段に出てきました。

そこにはもうすでに、警備員さんが立っていて、階段には観客がちらほらと座っているのが見えました。

念のために警備員さんに「ここで花火見れますか?」と聞くと、うなずいてくれたので、この女性にお礼を言おうとすると、今度は警備員さんに「今日花火だっていうこと、地元民には何も情報が来ないのよ~」とブチ切れていました。

娘と苦笑いしたあと、丁寧にお礼を言って、この女性から離れて階段に座りました。

すぐ目の前が海で、時々波しぶきが上がりますが、座っている足元までは届きません。

夜の海って、じっと見ていると、ちょっと怖いなあって感じました。

その後も彼女の声はずっと聞こえ続けていたのですが、それがいきなり英語に変わったので振り返ると、今度は外国人観光客と話していました。

警備員さんでは通じなかったので、彼女が花火の説明をしているようです。

さらに彼女のしゃべり声は続き、どうやらその外国人観光客と一緒に座って花火を見るようで。

なんてファンキーな人。

3メートルほど離れた斜め後ろに居て、大きな声で話しているので、ほぼ話の内容がこちらにも伝わってきました。

彼女、アメリカの大学を卒業したらしく、だから英語が流暢だということ。

いつも消極的な娘ですが、この会話を聞いていて、ちょっと彼女たちと話してくると言い出しました。

ああ、もちろん。

お母さんは、国際交流、大歓迎だから。

花火が上がるまでの15分ほどの時間を、娘の久しぶりの英語を聞きながら過ごしました。

そして、ようやく花火ショーが始まり、娘が戻ってきました。

豪華さはないし、たった5分ではあるけれど、海を目の前にして、美しいイルミネーションも同時に愉しめて、観られてよかったなあと思いました。

さて、じゃあ、次なる目的地へ行こうかと立ちあがったところに、ファンキーな彼女と話していた外国人観光客の男性が娘の元にやってきました。

彼は20代のオーストラリア人で、両親とともに日本に観光にやってきたということ。

どうやら娘のことが気に入ったようで、インスタを交換してほしいということ。

ふたりがその後10分ほど話し続けていると、彼のママがやってきて、一緒にご飯を食べようと言い出しました。

大きな体のママの後ろから、ファンキーな彼女がヌッと顔を出したと思ったら、「ヤンガーとオールダーに分かれて、タクシーで行きましょ!」といきなり仕切ってこられて。

これにはちょっとびっくりで、「うわっ!でも、このあと予定があって・・ロープウェイに乗りたくて・・」と、しどろもどろに答えた私。

「は?あんなロープウェイ、価値無し!つまんないわよ!!」と一刀両断されて、強引に連れていかれそうなところに、娘が「彼女は今日バースデーなので、その計画があるからごめんね」と、割って入ってきてくれました。

ファンキー女性は、「あ、そうなの。じゃあね!」という言葉だけ残して、そのままオーストラリアファミリーも私たちも置き去りして、闇の中へと消えていきました。

その後、娘がファミリーに丁寧にお別れを言って、嵐のような状況から一転、静かなふたりの時間に戻りました。

なんだか途端に力が抜けて。

この1時間余りの出来事は、なんだったんだろう。

何とも言えない、夢の中のような出来事でしたが、実はその後も、娘とオーストラリア人のピーターとは、インスタでやりとりが続いているようです。

 

さて、ファンキーな時間を過ごした後、もう一度乗りたいと思っていたロープウェイへ。

昼間と同じく、桜木町駅からの片道ルートに乗車します。

ライトアップされて、昼とはまた違う美しさ。

すでに9時近いので、乗車する人も少なく、すぐに乗ることができました。

ゴンドラからの写真なので、反射してあまりきれいではないですが、実際は、乗ってよかったなあと思うほど、素晴らしかったです。

なんだか現実とは違う空間に漂っている雰囲気を味わえました。

その後は、ファンキー女性が食事後に絶対に見に行ってほしいと言っていた、大さん橋へと向かいました。

まったく予定外の場所なので、スマホで検索しながら、20分以上は、てくてくと歩きました。

彼女曰く、世界一の夜景だという大さん橋からの横浜夜景。

そう言われたら、見ないで終えるわけにはいきません。

実際、彼女が言っていた大さん橋ふ頭ではなく、そのちょっと手前の小さな行き止まりの遊歩道で見た景色がこれです。

美しかったですね。

反対側にあった、ライトアップされた大さん橋ふ頭ビルです。

もう少し歩けば、大さん橋だったということは、翌日山下公園へ向かう途中で気づきました。

 

きれいな夜景を堪能して、もう歩けないと思ったので、タクシーでホテルまで。

すでに10時半ごろ。

大さん橋が追加されたために、大幅に予定が狂い、ホテルのレストランも、ショッピングモールも、すでにオーダーストップの時間。

完全に夕食時間を逃してしまい、仕方なくコンビニへ。

これがこの日のディナーとなりました。

 

翌日。

天気が悪くなることがわかっていたので、最後の目的地である山下公園へは、なるべく早く行くつもりでした。

まあ、結局は少し雨に降られてしまいましたが。

ラウンジでのゆっくりした朝食。

ラウンジの朝食は基本はビュッフェですが、かなり種類が限定されていたので、まったりとできることを望まなければ、違う朝食会場になっているレストランを選んだほうがよかったなと思いました。

 

チェックアウトをして、荷物を預かってもらい、ホテル近くのサイクルポートへ。

この時点で、わずかに雨が降ってきましたが、これくらいなら大丈夫と思い、山下公園へ。

その前に、上の朝食の写真の端の方に、大型船が停泊しているのがわかるでしょうか。

そう、セレブリティのクルーズ船が停泊しているんです。

山下公園に行きながら、少し見ていこうということになり、まずはクルーズ船の停まっている桟橋を目指します。

昨日と同じ道でしたが、ウイークデイなので歩行者が少なく、スイスイと自転車を進めることができます。

そして桟橋に向かいながら、昨日の夜景の撮影場所の先が大さん橋であり、その大さん橋にクルーズ船が停泊していることがわかりました。

大さん橋にもサイクルポートがあり、そこで一旦自転車を返却します。

ファンキー女性の言った、大さん橋からの素晴らしい景色は、このクルーズ船があったために結局見ることはできませんでした。

反対側のベイブリッジです。

 

再び自転車に乗って、山下公園へ。

そうそう、ここここ。

若かりし頃に、夜中に何度か来ていた公園です。

笑いながら、よくここを歩いたなあ。

懐かしいのひと言。

いや、なんだか胸の奥がきゅんとなりました。

あの頃は本当に若かったし、自由だった・・

氷川丸もあって。

途中にあったかわいいお土産屋さん。

思わず買ってしまったベアちゃんです。

 

雨も結構降り始めてきたので、ここで退散となりました。

タクシーを拾って、ホテルに戻り、ショッピングモールでスパゲティを食べて、家路につきました。

いやいや、いい旅でした。

横浜を選んでよかったなあ。

久し振りに楽しかったと思える旅行でした。

ファンキー女性とピーターというおまけも付いて、まったくもって充実感のあった還暦プチ旅行でした。

 

ほんと楽しかったから、またふたりで行こうね♪

 

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