ミラノのお話の前に、ローマについてもう少し。
気温は、確かに私の住む埼玉の方が高いんです。
でも、店内や施設に入っても、冷房があっても弱いところも多くて、暑さから逃れる場所がないんですね。
だから、史跡の多いローマは一度は行くべきところだけれど、冷房に慣れた日本人は、暑い夏だけは避けた方がいいというのが私からのアドバイスです。
ただね、これはヨーロッパ全体に言えること。
昨年の夏に行ったパリ、私たちの行ったときにはなぜか寒いくらいの気温だったので、いろんな施設のエアコンについては何も考えずに過ごしました。
パリもエアコンの普及率があまり高くないと言われていますから、もしも気温の高い時に行っていたとしたら、同じようにブーブー言っていたのかもしれません。
真夏のベルサイユ宮殿やルーブルの施設内には、エアコンらしきものはあるのか。
これについては、調べてみたものの、わかりませんでした。
ただね、確かにエアコンはこの世界で必需品だけど、日本やアメリカは屋内を冷やしすぎとも感じます。
エコという観点でいえば、ヨーロッパは努力しているということになります。
適度って、どんな場合でも大事なことなんですね。
いずれにしても、ローマの史跡は素晴らしいのは言わずもがな。
いい季節に行くことをお勧めします。
そんなわけで。
ぶちくさ言いながらも、観るべきものは確実にあったローマを離れて、ミラノへと向かいます。
居心地のよかったローマのホテル(唯一の不満はシャワーの水圧)をチェックアウトして、歩いてわずかのテルミニ駅へ。
これから3時間半の長旅なので、車内で食べるためにサンドイッチやスナックを、駅構内で購入。
電光掲示板には、多くの列車の案内が並んでいますが、発車ホームが決まるのが遅くて、発車10分前とかなんです。
今回、何度か電車に乗りましたが、すべてこういう感じでした。
何番線に行けばいいんだろうって、ずっとこの掲示板を気にして見ていないといけないんですね。
私たちは、イタロというこの高速列車に乗って、ミラノ中央駅まで。
海外で駅に入ることも、電車に乗ることも、おそらく初めての私。
娘はロンドンへひとりで行っているので、経験はあります。
手配した席は、プリマクラスといって、ランク上のもの。
今回の列車は、すべてビジネスクラス仕様を選択。
これは言うまでもなく、スリ対策で。
慣れている人はいいですが、はじめての私たち、こうして身の安全を守るしかありませんからね。
車内では、こんなサービスもありました。
ゆったりしてます。
でも、気が気じゃないのが、荷物。
大きなスーツケースは、すでに置き場がいっぱいで、スタッフの指示で、なんとか置かせてもらったのですが、誰かが取り出すときには動かさなくてはならないため、駅に止まるごとに注意して見ていなくてはなりません。
そのうえ、スリ対策で、こんなふうに自転車のチェーンロックでふたつのスーツケースを結んでおくようにしていました。
スリも、ふたつ合わさったこんな重たい荷物を運ぶことは、めちゃ大変ははずですからね。
こうして、3時間半後にミラノ中央駅に到着です。
駅に降りた途端に、ローマとの気温の違いを体感しました。
やはり北に上がれば、気温が下がり、過ごしやすくはなります。
ローマでは一度も羽織ったことのなかった長袖を、ミラノの朝食では羽織りましたから。
駅から歩いて3分ほどのホテル、「スターホテルエコー」に2泊です。
ほぼビジホですが、駅近は圧倒的に便利です。
これでもカテゴリーはデラックスルームということで、指定してもらいました。
チェックイン後、少し荷解きをして、ミラノの観光に出かけます。
まずはミラノ大聖堂まで。
バスの予定でしたが、Uberの存在を知ったからには、Uber一択。
イタリアのUber車は、プレミアムカテゴリーが主流のようで、ほぼベンツでした。
そして、一様に非常に運転が荒い。
パリもすごい人がいたけど、イタリアは誰もがレーサーか?と思えるほど。
私、今回運転するんだけど、大丈夫かしら・・
細い路地、短い距離でも、アクセルを踏み続けるイタリア人には、ただただ驚くばかりでしたね。
こちらがミラノの大聖堂。
まずその建築の美しさに目を惹かれなければいけないところ、あまりの鳩の多さにウへ~っ!となりました。
ローマで鳩を気持ち悪く感じた後の、この大群。
恐ろしくて、息も絶え絶えにこの場を通り抜けました。
入場列に並んでいた時に、私の日本語に反応した、前に並んでいた2人組のおばちゃん。
「あら、日本人?」と、笑いながら話しかけてきてくれました。
今回のイタリア、ドロミテ地方以外では、結構日本人を見かけましたね。
ただ、話しかけてくれるのは稀。
多くの人は、知らんぷりで、これはイタリアに限らず、どこへ行ってもそう。
だけど、やっぱりおばちゃんと呼ばれる世代は、私も含め結構馴れ馴れしくできていて、話したい衝動が抑えきれないわけで。
「どこから来たの?」
「埼玉です」
「あ、そう。私たちは浅草」
私よりもおそらく5歳ほどは年上だろうその人たちは、ツアーなのか個人旅行なのか、2週間ほどイタリアを周遊しているということです。
5~6都市を周るようで、話しぶりもパワフルでした。
そして、そのおばちゃんのひとり、手荷物検査でひっかかりました。
係の人にバッグから取り出されてしまったのが、小さなマヨネーズやタバスコが入ったジプロックの袋。
どうやらタバスコの瓶がいけないらしくて。
係の人の説明が何もわからないおばちゃんに、娘が通訳をします。
「瓶の持ち込みはだめらしいです。ここで捨てるか、どこかに預けてから入場してほしいって言っていますよ」
「え~っ!やだ~!そうなの~?」
ちょっとだけ考えたおばちゃん。
「わかった、じゃあもういいわ!捨てちゃってって言って!」
係の人が苦笑いしながら、ごみ箱に捨てに行きました。
そんな中、堂々とした態度で何事もなかったかのように、その横を通り抜けていったおばちゃんに、尊敬の念を抱きました。
このふたり、おばちゃんだし、英語もイタリア語もわからないのに、たったふたりで挑んでいる。
そのパワー、コロナ以降のここ数年、私が無くしかけていたもの。
こうでなくちゃ、いけないよ、うん。
日本では大阪のおばちゃんが最強だと思っていたけど、浅草のおばちゃんも超パワフル。
そうだよね、いつも娘や息子におんぶしている私、もっと頑張れ!
てなわけで、大聖堂の中です。
見事としか言えません。
その後は、階段を上って、屋上まで行きました。
どうやら170段あるらしいですが、翌日フィレンツェで、もっとすごい414段に挑戦する予定なので、まあ、疲れたなあという程度でしたね。
ただね、屋上自体が暑くて。
ローマよりはマシであるものの、やっぱりわずかな時間で退散。
下に降りた後は、大聖堂の隣にあるガッレリアへ。
ショッピングアーケードです。
ハイブランド店が並んでいますが、私への借金だらけの娘とアメリカが控えている私、ここに入っちゃだめだという神様からの注意喚起をしっかりと受け止めていたので、そのままここはスルーして行きました。
ガッレリアから歩いて今度は、最後の晩餐を観に行きます。
私にとっては、ミラノといえばこの絵で、逆にこれ以外に、ミラノに来る意味はないとさえ思ってたほど。
やはりね、世界遺産の絵画ですから。
同じレオナルドダヴィンチ作のモナリザは、世界遺産ではありません。
じゃあ、この最後の晩餐はなぜ世界遺産なのか。
その答えは、これが壁画だからということです。
世界遺産は、動かせるものはそれに当たらないそうで。
動かせない壁画である、最後の晩餐。
ミラノに来なくちゃ観ることのできない貴重なものだということを実感しました。
あ、でも世界遺産といえばローマ。
暑い、汚いと愚痴ったローマですが、バチカン市国もコロッセオも、みんな世界遺産。
なんなら、翌日以降のフィレンツェもベネチアも、ドロミテ地方も、全部世界遺産。
恐るべし、イタリア。
そっか、今回は世界遺産を巡った旅でもあったんですね。
てくてくと日陰を選びながら、こんな場所を歩いていきます。
ようやくたどり着いた、最後の晩餐の壁画がある、サンタ・マリア・デッラ・グラツィエ聖堂。
この中に、名画があるのですが、この予約にはとても苦労しました。
こういったチケットの手配はすべて娘がやってきたのですが、どうやっても予約が手に入らないと娘に泣きつかれ、ここのチケットだけは一緒に探しました。
かなり人気の高いこのチケットは、公式サイトでは、発売と同時に売り切れてしまうのだそうで。
1か月前にイタリアへ行こうと言い出した身分で、この予約を公式サイトで取ろうなんて言うのは、あまりにもなめ過ぎでは?
それでもどうしても、おケチな親子は、通常料金の公式のチケットを手に入れたい。
まずは当然、ツアー会社に依頼してみました。
そこで提示されたのは、やっぱりベルトラなどのツアーのチケット。
公式サイトの倍以上の金額です。
ならばと、ここでクレカのコンシェルジュの出番。
信頼できるアメックスでしたが、公式サイトでの購入は、個人情報の入力があるので、代行はできないということ。
そりゃそうだ。
それ以外の方法があるかと思って聞いてみたんですがね、やっぱりだめだということです。
そこでお次は、ローマにJCBプラザを持つ、JCBのコンシェルジュに相談。
ここでなんと、現地プラザからの絶好のアドバイスが!
イタリア語のツアーでなら、公式サイトでまだ少しだけ空きがあるよということ。
もうこの際、イタリア語だっていいわん!ということで、アドバイスの通りイタリア語のツアーを、安価な公式サイトの料金で購入することができました。
こんなふうに、意地汚くガメつく、あらゆる挑戦をする私。
黙って、倍額のツアーを選択するスマートさに憧れながらも、このたどり着いた成功に優越感を感じてしまったりする。
ここ、貧乏くさいんですよね~(笑)
予約時間の少し前に、事務所のようなところへ行くと、こんな小型の機械を渡されます。
この黄緑色の紐の機械をぶら下げた人たちが、ひとつのグループで、イタリア人のガイドさんに連れられて、30~40人ほどで入場していくんです。
進みながら、いろいろな説明を聞きますが、この機械で英語に変えることができます。
でも、ほぼわからない私、途中でイヤホンを外し、皆の後をついていきました。
すべてがツアー客ではないようですが、こうして30~40人の塊になって、ひと部屋ずつ進んでいくシステムです。
そしてたどり着くのが最後の晩餐の壁画の部屋になるのですが、この仕組み、非常にいいものでした。
確かにこれだと、多くの人数が入れないので、予約チケットの数が限定されてしまうのはわかります。
でも、観る側としては、たくさんの入場者に邪魔されることなく、ゆっくり静かに観賞することができるんですね。
部屋ごとに居られる時間は15分ほどで、次の部屋へと移っていきます。
そしてとうとう、おそらく最初で最後であろう、最後の晩餐とのご対面です。
なんだかね、感動っていうんでしょうか、言葉が出てきませんでした。
今回の史跡・遺産が、宗教に絡んでいるものが多いからなのか、どこへ行っても、厳かな気持ちになりましたね。
こんな自分にも、その力が及ぶものなんだなあ。
この後は、Uberを呼んで、またもやレーシングカーのごとくの超ハイスピードでミラノ中央駅に戻り、駅で餃子もどきと豚まんもどきを買い込み、部屋で食べました。
翌日は列車で、日帰りでフィレンツェに向かいます。