我が家が足繫く通っていた中華料理店が、とうとう閉店してしまいました。
今年の年明け、フィンランド&ロンドン旅行から帰ってきてすぐに、LINEの通知がありました。
年明けのあいさつとともに、3月に閉店するという内容でした。
しばらく言葉を失った私。
それから3カ月たって、本当にその日を迎えてしまいました。
最近はよく、「○○ロス」って言いますよね。
ドラマで大好きな役の人が亡くなったとか、推しの芸能人が結婚しちゃったとか、自分にとって大きな喪失感を感じたときに皆使っているようです。
でも、私のような歳になると、滅多にそれを感じることなんて無かったのですが、今回は確実にそれに陥りました。
ま、そういえば4年前に、大好きだった自分の家を売ってしまったときも、この「ロス」がありましたねえ。
こうして思い返してみると、この時のロスを和らげてくれたのが、今回閉店してしまったこのお店だったように思います。
大好きだった家を売却して、夫と離れて、誰も知る人のいない今のこの地で、なんとなくだけど私の拠り所になった場所でした。
店主であるご夫婦とは同世代なのですが、特に親しく仲良く話していたわけでもなく、お互いのことはほとんど最後までよく知らなかった間柄でしたが、なにしろよく食べに行きました。
引っ越してきて、ここを見つけてからは、当時は娘が家に居たので、1週間に2度以上は食べに行き、その後、就職しても週末には必ず行くという常連中の常連。
なにしろね、美味しいんです。
店主は都内の老舗ホテルで修業をされてきた方で、奥様も何らかのお酒の免許?を持っているというようなことを、チラッと聞いたことがあります。
満席になっても20人には満たないほどの小さな店ですが、品が良くて、いつもきれいで、丁寧な料理と接客。
クチコミ評価も素晴らしく、常連も多くて、我が家にとっても誰にとっても、最高のお店だったんです。
マンションから歩いて3分ほどの距離で、雨が降ろうと台風が来ようと、食べたくなったら行っていました。
そんなお店が、なぜに閉店なのか。
本当の理由はわかりません。
想像するに、体力の限界、物価高の影響。
そんなところのようだと思われます。
春巻きやシュウマイまで、すべてが手作りでごまかさない料理。
そのスタイルを、ご夫婦ふたりきりで守ってやってきたようですが、もうその持続が難しくなったのでしょう。
少し前の米騒動で、いいお米が入らないという愚痴をわずかにこぼしていて、それからご飯の質が少し下がったのがわかりました。
あらゆる面で、納得がいっていないことに、もどかしさもあったのでしょう。
最後の閉店の日、娘は仕事を休んで、はじめての昼のコース料理を予約して行きました。
コースを予約すると、確実に席が取れるので、5年間通ってはじめてのコースです。



前菜から始まり、エビチリ、春巻きとシュウマイ、牛肉のオイスター炒め(写真無いし)、五目そば、タピオカのミルク。
最後にジャスミンティが出てきて、コース終了。
もうね、最後の最後まで、手の抜かない美味しい料理が食べられて、感無量でした。
惜しまれての閉店に、店内には多くの贈られた花々が飾られていました。
最後に奥様がそっとテーブルに来て、使っていた桜色のきれいな湯飲みのセットを、記念としてプレゼントしてくれました。
ごちそうさまでした・・
そう言って、お会計で席を立った時に、ご主人も厨房から歩み寄ってきてくれて、私はポロポロと泣いてしまいました。
ありがとうございました、そしてお疲れさまでした。
そう言って、おふたりと握手をして別れました。
残念ながらこの日ここに居られなかった息子は、1週間前に、お別れの握手をしています。
この店が私たち親子の拠り所であったこと。
手のぬくもりとともに伝わったでしょうか。
またいつか、いつかどこかで。
心の中で、今もつぶやいています・・