今回は「就活用語」について少し触れてみたいと思います。
すでに子どもに促したいことはヤマほどあると思いますが、その前にまずはこちらを頭に入れておいてください。
子どもと話すうえで知っておいた方がいいと思える用語をピックアップしておきます。
まずはES
エントリーシートのことです。
エントリーシートとは、企業への申込書ということで、履歴書のようなものです。
企業とのやり取りはこのESから始まるので、最重要な位置づけになります。
一般の履歴書と違うのは、このESは企業側からフォームが提示されるということ。
企業が学生に聞きたい項目を設定して、学生側はそれを埋めて期限内に提出します。
生年月日や大学情報という当たり前の項目の他に、絶対と言っていいくらいどの企業にも設定されている項目が次の3つです。
・志望動機
・学生時代に力を入れたこと
・自己PR
この3点はどこの企業にも使えるので、これだけは前々から熟考しておく必要があります。
企業側もESにはそれぞれカラーを出しています。
市販の履歴書でもいいというところもあれば、A4用紙6枚ほどの多くの設問があるESをぶつけてくるところもあります。
また、最近は動画での提出もよく見られます。
動画作成に慣れている学生は、あの手この手を使って自己PRをするようで、以前私が見たテレビ番組で印象に残っているのが、滝に打たれながら自己PRをしている学生です。
この学生は当たり前ですが企業側の目に留まったようで、選考に進んでいました。
息子の実体験でも感じましたが、就活は企業と学生の駆け引きなんですね。
ESについてはまたあとでくわしく触れてみたいと思います。
SPIとは能力+適正検査のこと
ESと同時にあるいはそのあとに、このSPIという検査が実施されることが多いようです。
リクルートキャリア社による検査で、中・高校生レベルの学力試験と性格検査を合わせたものが一般的です。
中高生レベルと言ってもあなどれない内容で、これで落ちたという経験を持つ学生は少なくありません。
簡単にいえば国・数・英のテストですが、なにしろスピード勝負なので、問題に慣れておくのがいいようです。
リクナビなどのサイトでも過去の問題が試せるようになっていますし、市販の問題集を買っておくのもいいです。
大学のキャリアセンターにも置いてあるようです。
学力に自信があっても、一応慣れておくことをお勧めします。
SPIは自宅のパソコンでWeb受験することが多く、そのデータは残されて、他の企業にも使うことができるようにもなっています。
点数の結果は知らされないので自己判断にはなりますが、他の企業で通過しているというのならそのデータを使いまわしすれば、手間が省けていいと思います。
Web受験の他に、テストセンターでの受験も多く、リクルートキャリア社が用意した受験会場で、あらかじめ指定された日に受験をします。
これもデータとして他企業に使えます。
使いまわしの条件は、そのデータを使うかどうか、サイトに表示された時のみとなり、使えない場合はその都度の受験となります。
SPIの役目は、ひと言で言えば「足切り」。
企業側からすれば、ESとSPIは、ある一定ラインの学生を確保する手段となります。
なので、ここで落とされてしまうことが毎回続くことがないように、対策はとっておきましょう。
SPIの他に、玉手箱と呼ばれるテストなどが5種類ほどあり、対策もそれぞれになります。
企業独自のテストを行っている場合もあり、SPIや玉手箱よりも難易度は高くなり、そのため選考においてはかなり重要視される検査となり、初段階でなく中段階あたりで実施される傾向があります。
ガクチカってなに?
「学生時代に力を入れたこと」の略です。
ESや面接で必ずと言っていいほど出てくる質問ですから、学生たちの間では長くて言いにくいので略してこれが使われるようになったようです。
就活生の間では当たり前に通じる言葉なので、母の口から出ると「おお、通じるじゃん!」と、子どもとの距離も近づくはずです。
この質問に対して自信のある即答ができる学生なら、今後の企業とのやり取りに安心感が持てます。
部活動で活躍した、サークルでリーダー格だった、チームで研究に力を入れたなど、できれば単独ではなく、周りを巻き込んだうえでの成果を挙げた経験があるとベストです。
何気にサークルや仲間で学生時代をただただ楽しく過ごしたという、我が家の息子のような「その他大勢組」は、この設問に非常に頭を悩すことになります。
企業にとってはこの回答が、その学生がどんな人間かを見る大きな材料になります。
学生側にもそれがわかっているので、なんとかいい回答をしたいものです。
でも、だからといって作り話をしたり、盛って盛って書いたりしても、そういう人間だということを演じる力が無ければ、たやすくバレバレになってしまいます。
懸命にちっぽけな材料をかき集めて、等身大の内容に少しいいことを上乗せして挑むしかなかったですね、ウチの息子も。
頻繁に聞くようになるんです(泣)・・「おいのり~お祈り~祈られる」
企業からの不採用メールのことです。
「貴方を採用できませんでした 」という内容の最後に、必ずと言っていいほど「〇〇様の今後の活躍をお祈り申しあげます」という1行が添えられているので、学生たちの間ではお祈りメールと呼ばれるようになりました。
企業とのやり取りはほとんどがメールになり、この時期は常にメールを意識することになります。
エントリーした企業数が多ければ多いほど、やり取りも多くなり、結果的にお祈りをもらう回数も増えてしまうかもしれません。
その度に「祈られた~!」と学生たちは嘆くわけです。
対して、通過したときの流行りの共通語は耳にしないですね。
ごくごく普通に「やった~!」「通った~!」という感じでしょうか。
それだけ残念な結果をもらうことが多く、つらい気持ちを誰かと共有したいのでしょうね。
大人になりかけの学生たちならではだと思います。
ここって、「サイレント」なの?
これもよく聞くことばです。
上で紹介した「お祈り」と同じで、結果的に「不採用だった」ということなのに、その通知がいつまでも来ない状況を言います。
お祈りメールをきちんと送信してくれる企業ならいいですが、連絡なしという企業もあるんです。
丁寧にやり取りしていた企業なのに、途中からメールをくれなくなったという場合もあります。
要するに、待てど暮らせど何の連絡もなしというのがサイレントで、すなわち不採用だったということになり、「ここってサイレントなの~?」というボヤキになります。
不採用の場合は連絡なしと前以て告知されていればいいのですが、そういう前置きもない企業の場合は、ひたすら待つ時間が続くことになり、学生にとってこの状況は本当につらいものです。
ダメならダメでそう言ってくれないと、次に進めませんから。
企業の人事が非常に忙しいのはわかりますが、不採用通知も送れない企業は、親からしても学生同様に「カス!」と切り捨てたくなります。
朝から晩まで通知を待つ身にもなってくださいね~。
グルディスってなんの略?
グループディスカッションのことです。
ESやSPIを無事に通過すると、ほぼ次の段階でこの選考が登場します。
企業によっては似たような位置づけで「グループワーク」という名の選考もあり、これはチームで何か作業をして完成させるといった内容です。
グルディスという言葉は就活生の中で頻繁に聞くので、ワークよりもディスカッションをさせる企業の方が多いのだと思います。
グルディスは数人のグループをその場で作らされ、お題を提示され、それについてグループ内で議論をします。
企業の社員2人前後がそのグループに付き、その学生同士のやり取りを見て、選考の判断材料にするというものです。
企業側がここでどんな学生を欲しているのか、どんな役割をもってこの場に挑めばいいのか、学生側もいろいろ研究して臨みます。
我が家の息子は初めの数社においてはこれを得意としていたのに、ある企業でこれでお祈りされたのをきっかけに自信を失くしてしまいました。
選考基準が不透明であり、面接とは違い企業側の反応をいちいち見ることもできないので、学生にとっては難しい選考のひとつだと私は思います。
学生の味方?~就活エージェント~
企業と学生の仲介をしてくれるのが就活エージェントです。
その学生に合った企業をピックアップしてくれ、面接までセッティングをしてくれます。
最短1週間で内定がもらえるといった神業実績もあります。
マッチング専門の業者も多数ありますが、マイナビにもリクナビにもエージェントのサイトはあります。
エージェントの最大のデメリットは、一般的に有名企業や大企業、人気企業には巡り合えないということ。
要は、行きたい企業を選ぶのは難しいということです。
基本は、学生をどうしても確保したい企業と、自分では企業の確保が難しいまたは面倒だという学生とを結び付けてくれるのがエージェント。
はじめから割り切って、どんな企業でもいいから楽に就活を勧めたいという学生や内定をもらっておきたいので併用したいという学生向きなんですね。
また、就活に疲れた学生が辿り着く最後の手段にもなりますから、登録をしておくのもいいと思います。
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母のための就活用語、どうでしたか?
理解しているという人もすでに多いとは思いますが、実際に使っていますか?
使うことで不思議と子どもと一緒に歩んでいる気になってきますよ。
自宅生なら様子もわかりますが、自宅外のお子さんの就活を把握するのは至難の業です。
必要以上に口をはさむことはいらないと思いますが、こんな言葉を使ってみることで、間口を広げておくのもいいんじゃないでしょうか・・
就活はどんな優秀な学生も疲れるものですから。