ひとりぽっちで迎える最後の夜-
明日、夫がもとの家を出ます。
新しく借りた会社の近くのマンションに、引越しをします。
明日は朝から私も手伝いに行きます。
息子は仕事、娘はバイトです。
13年間住んだ自分の家に、ひとりでさよならをするこの夜、夫が悲しくないわけがないと、先ほど電話を入れました。
「寂しいなあ・・」
電話でつぶやいていました。
喜びや悲しみといった感情を、家族なのに共有できないこと。
その事実を、夫はどうとらえているのか。
どうして俺はひとりでこの夜を迎えたのか。
それを自問自答できる人ならこんな日は来ないだろうなあと、可哀そうに思いながらも突き放す私がいます。
私が辛く苦しいとき、夫は居てはくれませんでしたし、それどころかすがり泣きつく私を振り払ってきました。
そう、だから私は強くなれたのです。
今の夫のシチュエーションは私なら耐えられませんが、夫はなんだかんだ大丈夫。
今までもそうして生きてきた人だし、これからもきっとそうでしょう。
夫と自分は同じではない。
それはとうにわかりきっていること。
だから私たちは交わることはないんだと思います。
いつもいつでもどこまでも、ボタンを掛け違えていく夫婦です。
それでも。
きっと何らかの感情を抱いているだろう夫に、暮れていく夕日を見ながら思いを馳せていたりします・・