今日が最後だ‥と言って出かけました。
息子、1年で異動です。
官庁勤めは2年で異動が多いと聞いていましたが、1年で異動ってどうなんだ?
前にも書きましたが、数週間前にかなりの大失敗をやらかした息子。
そのせいなのか・・とも思えて。
今の部署は1年目にして所属できるようなところではなく、異例だと言われての配属でした。
親としては鼻高々だったのに、1年で普通の部署へ異動とは、やはり化けの皮が剥がれたか・・
私の自慢の息子ではありますが、世間一般から見れば、あまり優秀であるとは言えません。
学歴だけはなんとか見栄えを保てて、性格も優しいのですが、それ以外は、私が上司だったらチッ、使えねえ!と舌打ちするのが想像できるような子でもあり。
優しいし、間違えればすぐに謝る。
頑固ではないし、強引なところは全くなく、人付き合いもいいし、我は通さない。
でも、社会人としてはどうか。
強気ではないので覇気はなく、競争心がないので、向上心もない。
話を合わせるだけで、積極性がなく、長く居ればつまらない。
家の中でもそういう場面はあります。
夕飯ができたときに、娘はコップを出したり、お箸を出したり、状況を見て動きますが、息子はぼーっと突っ立っていたりします。
まあ、家では気が緩んでいるんだろうとかばってきましたが、これが仕事場でも同じだったらゾッとします。
他人から見た自分というのを、あまり気にしないんですよね~
評価を意識していない。
ここ、私にそっくりなんですが、私は女である故、見た目も一応は繕うことができたのですが、息子は本当にさっぱりで。
異動の話、私にはどう見ても左遷としか思えなくて。
自分のことじゃないのに、当の息子は何も考えていないのに、なんとなく母としてもやもやしてて。
そんな時、週明け月曜日に、昔のバイト仲間と焼き肉屋に行って、そのあとお友達の家に泊まってくるなんてのんきなことを宣ったので、日曜の夜は大げんかです。
あのさ~、社会人にもなって、月曜の夜に遊んで、朝帰りして次の日テレワークと言えども仕事って、どうよ!
学生じゃないんだからね!
しかも年度末で、しかも異動で!
だから、あんたはね~
クドクドクド・・
結局私の勢いに押されて息子が折れて、朝帰りは無くなり、終電で帰ることになりました。
向上心のなさ、出世欲のなさ、この際だから、いろんな注文をガンガンと付けました。
まあ、息子の人生だから、私の欲を押しつけてもいけませんが、出世街道から大きく外れて、周りにバカにされるような人生も送ってほしくないという、王道の母親心で。
そして最後に息子がぽつりと言います。
いつまで生きられるかわからないからさ・・
もう、これ以上は何も言えません。
昨日、SNSで流れてきた映画の話題で、今公開中の「余命10年」というタイトルを見つけました。
この映画については全く知らなかったのですが、タイトルでほぼ内容がわかります。
映画はかなりの本数を見る息子なので、この映画についてはすでに知っていたでしょう。
どんな気持ちでこのタイトルと向き合ったのか。
実は私も、息子の病気がわかって以来、初めて落ち込むという状況になりました。
この映画のタイトルを見てしまってから。
映画の感想をSNSで会話している人を、羨ましく思いました。
そう、人を羨むということも、私自身、人生の中であまりないことであり。
何もなければ、私もこの映画の話を見聞きして、感動したり、泣いたりしていたかもしれません。
でも今は、それができなくなってしまった。
これまで本気で恐れたことも、傷を負ったこともなかったんでしょうね、きっと私は。
偉そうになんでも発信してきたけれど。
山口百恵ちゃんの赤いシリーズで、主人公が白血病を患うドラマがありました。
あの主題歌で、あとどのくらい、愛されますか?あとどのくらい生きられますか?というフレーズがあります。
息子の病名がわかったとき、このフレーズが脳内リピートされました。
でも、それでも、今ほど落ち込みはしなかった。
1年近くたって、ようやく私は息子の恐怖に寄り添うことができてきたのでしょう。
これまでは、絵空事だった。
見ないふりをしていた気がします。
私と大バトルをした日曜日の夜。
娘が夜中の2時ごろトイレに行ったときに、まだ息子の部屋の電気が点いていたと、翌日娘から聞きました。
眠れない夜もあるとずっと言っていた息子。
余命という言葉。
私の脳内の「あとどのくらい生きられますか」。
当たり前の重さを、鈍感だった私がようやく認識し始めました。
ごめんね・・
これからはさ、きちんといちばんの味方になるからさ、必ず。