歌手の谷村新司さんが亡くなりました。
私の世代よりも上の方ですが、3歳年上の姉が中高生の頃からアリスが結構好きで、少しその影響も受けていた私は、一度だけアルバムを買った覚えもあります。
自分の子どもの頃とか青春時代とかに、寄り添ってきてくれた音楽を作ってくれた人たちが、当たり前のように順番に亡くなっていく今日この頃。
私自身、親兄弟がまだ生きているせいか、自分に一番近い肉親が亡くなることの悲しみというのがあまり理解できていないのですが、先日書いたように、音楽が大好きだった私、もう二度とその声を聴くこともないのだなと思うと、ぽっかり穴が開いたような気分になります。
アリスの歌では「ジョニーの子守唄」という曲が好きで、よく聴いていました。
若かりし頃に聴いていた「ジョニー」の曲を、久しぶりにすでに父親になっている自分が聴いて、懐かしさと痛みを感じているという内容の歌です。
だけど、この「ジョニー」のモデルって誰なんだろうと、ふと今朝考えました。
もしかしたら、自分たちアリスのことなのかなって思えて。
過去の若さで輝いていた自分を、見つめていたのかなって。
そしてそのあと。
誰なの?って、もう聞けることはないんだということ。
これが死なんだなって、改めて思いました。
あれは何だったの?
どう感じていたの?
こういう問いを残したままで消えてしまうことは、実際にたくさんあるんでしょう。
自分もつかえを残したくないし、残さないようにしておいてあげたい。
そんなことを、ふと思った朝でした。
谷村新司さんの歌って、本当に歌詞が秀逸。
「秋止符」という歌の出だしが素晴らしくて。
~左利きのあなたの手紙
右手でなぞって真似てみる
いくら書いても埋めつくせない
白紙の行がそこにある~
こんな歌詞、書ける人が居ますか?
この出だしだけで、女性の思いがすべて伝わる。
そして。
~春の嵐が来る前に 暖かい風が吹く前に
重いコートは脱ぎ捨てなければ
歩けないようなそんな気がして~
こんな言葉を書けるのって、天才すぎます。
終わった恋を「重いコート」と書き、それを脱ぎ捨てることで前に進もうとしているけれど・・
でも・・
こういう心の琴線に深く触れてくるような歌を書く人が、私たちの時代は多かったですね。
生きるか死ぬかの今の時代にはもう、過去を懐かしんだり、恋愛に没頭できたりする、こういったある意味平和的な名曲が出てくることはないのかもしれません。
いろんな場所で戦争が起きて、自分たちもそれに巻き込まれていきそうな今、ひとつの時代が終わっていくのを感じますね。
その残り香のようなものを身にまとった私たち世代の心に刺さる次のメロディーは、果たしてどんなものなんでしょうか・・